公明党は動物好きの敵?
ペット業界とつるんで
子犬売買の法規制を骨抜きに!
犬を殺す、安倍政権の仲間…
Amazon.co.jp: 犬を殺すのは誰か ペット流通の闇: 太田 匡彦: 本
みんなが知るべき情報
公明党は動物好きの敵?
ペット業界とつるんで
子犬売買の法規制を骨抜きに
LITERA/リテラ(SP) 本と雑誌の知を再発見
保健所で数多くの犬が殺処分されている一方、業者によって無惨に犬の死骸が遺棄され、ニュースになる。──先日お伝えした前編では、そうした日本のペット流通の裏側を紹介した。今回は、さらにその深層を、同じく『犬を殺すのは誰か ペット流通の闇』(太田匡彦/朝日新聞出版)から追っていきたい。
それは、子犬・子猫売買の法規制にからむ問題だ。ペット業界は自分たちの利益のために規制を阻止しようと動いたのだが、その動きを意外な政党が後押ししていたのである。
まずはその法規制の内容について説明しよう。日本では法規制が長くなかったため、生後40日程度の子犬が販売されてきた。ペット流通の大きな根幹となっているペットオークション(ブリーダーが犬を出品し、ペットショップ業者が競りを行う)が加盟する業界団体の会長は、本書の取材に「日本人は犬を擬人化して飼う傾向があります。だからころころとかわいい子犬を好み、そこに商品としての『旬』が生まれます。現状は、世の中のニーズに商売人が合わせた結果、ということです」と答えている。逆をいえば、ころころとかわいい時期が過ぎれば売れないため、少しでも早いうちに売りたい、ということだ。
しかし、犬には性格を決定づけるとされる「社会化期」という重要な期間がある。親やきょうだいと交流することで、子犬は「犬としての社会的関係」を学ぶ。この「社会化期」に子犬を親から引き離すと、成犬になったときに攻撃性や警戒心が強くなったり、免疫が弱く病気になりやすくなるという指摘が行われている。
「家族を噛む」「吠え癖がありうるさい」などという理由で犬を保健所に捨てに行く飼い主は後を絶たないが、社会化期を経る前にペットショップへ売られてしまったことで、そうした問題行動を起こしているとも考えられているのだ。
これは専門家の研究でも実証されており、社会化期は「生後3~12週」、「6週齢で子犬を生まれた環境から引き離せば子犬は精神的打撃(精神的外傷)の影響を受けることになる」という研究結果が出ている。事実、アメリカやドイツ、イギリス、スウェーデン、オーストラリアなどの国では、こうした研究結果を基に8週齢(生後56日)未満の犬を母犬から引き離すことや販売することを禁じている。
このような事例を受けて、日本でも2013年9月に動物愛護管理法を改正、8週齢未満の子犬の引き渡しを禁じた。だが、じつはこれには「附則」があり、〈引き離し禁止期間が当初3年間は生後45日まで、4年目からは生後49日まで〉とされている。つまり、現状では生後45日を過ぎれば子犬を売っていいことになる。その上、〈禁止期間が生後56日になるかどうかは「別に法律で定める」となって、今回の改正動物愛護法では全く担保されていない〉。いわば骨抜きの法改正となってしまったのだ。
動物愛護法の改正において、この「8週齢(生後56日)規制」は最大の目玉だった。それがなぜ、このような無意味な改正となってしまったのか。そこには、流通・小売業者らといった〈反対勢力〉の暗躍があった。
本書によれば、環境省が委員を選んだ法改正のための小委員会にも〈業界の「利益代弁者」が少なからず入っていた〉といい、改正前には委員である〈学識経験者のうち複数人〉がペット業界誌の座談会に登場。「これがすべての犬種にあてはまるかは難しいところ」などと述べ、8週齢規制に慎重論を唱えたという。
それだけではない。法改正にあたって11年8月には環境省がパブリックコメント(意見募集)を実施していたのだが、これに対し、中央ケネル事業協同組合連合会や、ペット保険大手のアイペット、血統書の発行などを行うジャパンケネルクラブ、NPO法人日本社会福祉愛犬協会などの業界団体が「組織票」集めに奔走。環境省へ意見提出するために動員をかけていたという。
しかし、その結果は〈8週齢規制に賛成する意見は6万2394件〉に対し、業界団体が動員をかけた「45日齢規制で十分」といった意見は〈4万6372件にとどまった〉。少なくともこの時点では〈世論は明らかに規制強化、8週齢規制導入を支持〉しており、優勢だったのだ。
しかも、当時の与党である民主党は8週齢規制に積極的で、自民党とも足並みをそろえていた。だが、改正が確実になったころから囁かれていたのは、〈公明党だけは、業界寄りの見解を持っている〉ということだった。
実際、本書に記述された民主、自民、公明(途中から生活の党も参加)の実務者協議の様子を読むと、ある議員の意見は“業界団体の代弁”にしか見えない。本書では「販売業者サイドの意向を強く出して、8週齢規制に反対する議員がいた」という関係者の証言を掲載し、その議員の名を明らかにしているのだが、それは、公明党の高木美智代衆院議員である。
高木美智代ブログ
高木議員は、第一次安倍内閣で経済産業大臣政務官を務めた人物で、改正当時は公明党動物愛護管理推進委員会の委員長。本サイトで調べたところ、高木議員は東日本大震災発生時に被災地へ動物の救援物資を送るなどの活動を行っているが、じつは「以前より親交のあった全国ペット協会・理事」から話を持ちかけられてのことだったという。
この全国ペット協会とは、動物取扱業にはじめて罰則規制がかかった99年12月の動物愛護法改正をきっかけに立ち上がった業界団体で、言うなれば法改正に抵抗するための組織。高木議員は総会にも来賓として参加しており、近しい関係であったことがうかがえる。
そうした点をふまえて法改正の協議の模様を見ていくと、いかに高木議員が〈業界寄り〉であるかがよくわかる。
たとえば、協議の第1回目。民主党が〈環境省の小委員会での議論とその報告書をベース〉にしてまとめた改正案の骨子に対し、高木議員はこのように指摘している。
「民主党は実現可能性の話を水面下で関係者と折り合いをつけてもらいたい。政治主導で愛護団体の意見を強く出すのはよくない」
また、全国ペット協会の会長を招いて意見を聞く場が設けられた際には、こう発言している。
「ペット業界からは科学的根拠がないのに規制を受けるのか、という意見があった。国としても根拠を整理すべきだ」
「環境省は業界と向き合い、落としどころの案を出してほしい。業界と向き合ってもらわないと。現場の意見をくみ上げるために全国ペット協会とすりあわせをお願いしたい」
さらに、与野党協議に動物行動学の専門家が出席したときには、麻布大学獣医学部の菊水健史教授が研究データを基に「56日齢以降に引き離された個体は、49日齢で引き離された個体に比べ、7項目中5項目で有意に良い結果が出た」と説明。この5項目とは、「見知らぬ人に対する攻撃行動」「飼い主に対する攻撃行動」「他の犬に対する攻撃行動」「非社会的恐怖行動」「分離による問題行動全般」。
すなわち、成犬になったときにこれらの問題行動を起こす可能性を高めないためには、7週齢(生後49日)よりも8週齢(生後56日)に引き離すほうが〈改善の余地がある〉と述べている。〈明らかに8週齢規制こそ是〉としているのだ。
しかし、その説明後にも、高木議員は「業界はやっと42日齢まで来た状況。49日齢を法律で規定する考えはどうか」と、業界の先棒担ぎのような発言を行っている。
こうした著者の追及に対し、高木議員は「規制を導入するには科学的データが足りません」と主張。さらに、〈「8週齢規制」については、その根拠として米国のサーペル博士の研究成果が引用されますが、その成果については科学的根拠があるのは7週齢であると環境省の報告書ではされており、この研究は主に大型犬を対象としており、小型犬の人気が高い日本において、この研究成果をそのまま当てはめることへの疑問も指摘されています〉と文書で反論している。
だが、この反論を読んでも、なぜ高木議員がここまで強固に8週齢規制に反発しているのか、まったく解せない。科学的データが足りないというが、環境省がまとめた「犬猫幼齢動物の販売日齢について」という資料内の「科学的根拠」の項目内で引用されている数々の研究書では、ほとんどが母犬や産まれた場所からの早期切り離しの危険性を訴えている。
しかも日本でも大型犬がたくさん飼われており、その基準を小型犬に当てはめて何の問題があるのだろう。問題があるとすれば、それは8週齢にすることで増加する生産コストや、卸価格の下落、売り上げの減少、ブリーダーやペットショップの廃業といった動物取扱業者らの経済面の問題だけだ。
動物愛護よりも、業界を意識した高木議員の発言の数々──。これには“何か金が絡んでいるのでは?”と見る向きもあるが、こうしたネット上の書き込みに対し、高木議員は自身のブログで「私は、業界団体から、政治献金は一切頂いていませんし、頂いたこともありません」と否定。
だが、このような疑惑が噴出するくらい、高木議員が改正案を骨抜きにするために果たした役割は大きい。
ただ、公明党という党の体質を考えたときに、法案反対が一議員の判断でできるとは考えづらい。背後には、党の総意があると考えたほうがいいだろう。
事実、12年8月29日に動物愛護法改正案が可決・成立する約1年前の11年10月19日、公明党は全国ペット協会からの「幼い動物の販売時期の規制については、科学的知見の蓄積により慎重に検討すべき」という要望を受けている。
環境省が発表しているデータでは、12年度に殺処分された犬の数は3万8396頭にのぼる。
現在、キャスターの滝川クリステルや女優の浅田美代子らが賛同人となり、2020年の東京五輪までに殺処分ゼロをめざすキャンペーンなども行われているが、ブリーダーによる乱繁殖やペットショップによる子犬の虐待・遺棄を食い止める第一歩に、この8週齢規制がある。
犬たちの命を無視して、業界の既得権益が守られているこの現状。その先に、先日、栃木県で起こった犬の死骸が大量に遺棄されたような事件がある。食事も水も与えられず殺されてしまった80匹の犬たちの亡骸を、わたしたちは想像しなくてはいけない。
(田岡 尼)
LITERA/リテラ(SP)より
http://lite-ra.com/i/2014/11/post-655-entry.html
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それは、子犬・子猫売買の法規制にからむ問題だ。ペット業界は自分たちの利益のために規制を阻止しようと動いたのだが、その動きを意外な政党が後押ししていたのである。
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このような事例を受けて、日本でも2013年9月に動物愛護管理法を改正、8週齢未満の子犬の引き渡しを禁じた。だが、じつはこれには「附則」があり、〈引き離し禁止期間が当初3年間は生後45日まで、4年目からは生後49日まで〉とされている。つまり、現状では生後45日を過ぎれば子犬を売っていいことになる。その上、〈禁止期間が生後56日になるかどうかは「別に法律で定める」となって、今回の改正動物愛護法では全く担保されていない〉。いわば骨抜きの法改正となってしまったのだ。
動物愛護法の改正において、この「8週齢(生後56日)規制」は最大の目玉だった。それがなぜ、このような無意味な改正となってしまったのか。そこには、流通・小売業者らといった〈反対勢力〉の暗躍があった。
本書によれば、環境省が委員を選んだ法改正のための小委員会にも〈業界の「利益代弁者」が少なからず入っていた〉といい、改正前には委員である〈学識経験者のうち複数人〉がペット業界誌の座談会に登場。「これがすべての犬種にあてはまるかは難しいところ」などと述べ、8週齢規制に慎重論を唱えたという。
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しかも、当時の与党である民主党は8週齢規制に積極的で、自民党とも足並みをそろえていた。だが、改正が確実になったころから囁かれていたのは、〈公明党だけは、業界寄りの見解を持っている〉ということだった。
実際、本書に記述された民主、自民、公明(途中から生活の党も参加)の実務者協議の様子を読むと、ある議員の意見は“業界団体の代弁”にしか見えない。本書では「販売業者サイドの意向を強く出して、8週齢規制に反対する議員がいた」という関係者の証言を掲載し、その議員の名を明らかにしているのだが、それは、公明党の高木美智代衆院議員である。
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高木議員は、第一次安倍内閣で経済産業大臣政務官を務めた人物で、改正当時は公明党動物愛護管理推進委員会の委員長。本サイトで調べたところ、高木議員は東日本大震災発生時に被災地へ動物の救援物資を送るなどの活動を行っているが、じつは「以前より親交のあった全国ペット協会・理事」から話を持ちかけられてのことだったという。
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「環境省は業界と向き合い、落としどころの案を出してほしい。業界と向き合ってもらわないと。現場の意見をくみ上げるために全国ペット協会とすりあわせをお願いしたい」
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だが、このような疑惑が噴出するくらい、高木議員が改正案を骨抜きにするために果たした役割は大きい。
ただ、公明党という党の体質を考えたときに、法案反対が一議員の判断でできるとは考えづらい。背後には、党の総意があると考えたほうがいいだろう。
事実、12年8月29日に動物愛護法改正案が可決・成立する約1年前の11年10月19日、公明党は全国ペット協会からの「幼い動物の販売時期の規制については、科学的知見の蓄積により慎重に検討すべき」という要望を受けている。
環境省が発表しているデータでは、12年度に殺処分された犬の数は3万8396頭にのぼる。
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