原発重大事故が起こっても、
福島第一原発のトラブルを
“隠蔽”する方針!
原子力規制委、まさか特定秘密?
LITERA/リテラ(SP)
もし重大なトラブルが起こっても、
今後は周囲の住民、自治体、
そして報道機関などに
即座に知らされることなく、
規制委の“評価”“判断”が終わって
「文書」が出来上がるまで
公表されない、
ということなのではないか!
いまだ廃炉作業が進展せず、
汚染も深刻だということの
裏返しでもあるのだ!
もしやこれが
「安全保障上の国家機密」なのか……。
Amazon.co.jp: 福島原発事故 被災者支援政策の欺瞞 (岩波新書): 日野 行介: 本
みんなが知るべき情報
原子力規制委が
福島第一原発のトラブルを
“隠蔽”する方針
まさか特定秘密?
LITERA/リテラ(SP) 本と雑誌の知を再発見
12月10日、ついに特定秘密保護法が施行された。
安全保障にかかわる情報を特定秘密にして、漏洩した公務員らに懲役刑を課すというものだが、疑問視されてきた運用基準はいまも曖昧なまま。
しかも、どれが特定秘密なのかを指定するチェック機関は政府内に置かれていることを考えると、国家が恣意的に情報を隠蔽、コントロールし、報道の自由さえ脅かすのがこの法案の本質だ。
実際、この法を管理する内閣情報調査室が「海外生活や留学経験者は国家機密を漏らす恐れが高い」などという時代錯誤の見解を出したことでも分かるように、そもそも適正な運用など不可能であることがすでに露呈している。
これを前のめりで進めた安倍晋三首相は、「報道が抑圧されたら、私は辞める」などと大見得を切ったが、その舌の根も乾かぬうちにテレビ局に対し、〈報道の公平中立確保のお願い〉などという脅し文書を出しているのだから、何をかいわんやである。
しかも、秘密保護法が施行された同じ日、これに連動するように、国民の知る権利と安全さえを脅かすとんでもない決定があったことをご存知だろうか。
それは、原子力規制委員会(以下、規制委)が10日に、“福島第一原発では今後、国際原子力事象評価尺度(INES)を無視する”と決めたことだ。
INESは、原発事故や事象をレベル0から7までに分け、レベル2以上の場合および国外で公衆の関心を集めたり、新聞報道が必要となったときには、24時間以内に国際原子力機関(IAEA)を通し、加盟各国に通達することになっている。
これは重大な放射線汚染をいち早く察知し、国際的に対策をとるためだが、しかし、共同通信の報道によると、規制委は福島原発が最悪レベルの7に評価されたことで「尺度の評価基準をそのまま適用すると『誤解』が生じる」として、今後INESの数値を使った数値を福島原発に適用しないと決定したのだ。
INESを適用すると「誤解」を招く──。この規制委の意図は容易に想像できる。
福島原発は現在でも事故終息とはほど遠いのが現状だ。汚染水は増えつづけ、それを防ぐ凍土壁は短期的な対策に過ぎず、しかも未だ「凍らない」との報道さえある。来年から着手予定の燃料の取り出しも、周辺の放射線が高くて見通しも付いていない。
規制委にいわせれば、「こんな状況で発生するトラブルをいちいち評価、報告などできない」ということなのだろうが、それはいまだ廃炉作業が進展せず、汚染も深刻だということの裏返しでもあるのだ。
そして、注目すべきは、この決定をした会議資料のなかで例として挙げられている、昨年8月の汚染水漏れについての規制委の報告である。
規制委は昨年8月19日に300トンの高濃度汚染水が漏れた問題で、今回、「健康や環境への影響を懸念すべき海洋汚染はなかった」という評価を公表しているのだが、その会議資料を読むと、INESの評価基準にのっとるとレベル3であると暫定評価しながらも、〈潜在的影響をより現実的なものとしたところ、レベル2となった〉というのだ。
どうしてレベル3がレベル2になるのか。その理由は、“事故の影響で深層防護が十分でない施設に、通常の発電所と同様の防護基準を求められない”ということらしい。また、汚染水が地表に漏えいしたのは事実だが、事故後はサイト内全域が〈管理対象区域〉になっているのだから、〈設計上想定されない区域〉には当たらないのではないか、というのだ。そして、一般公衆の被爆はないことも挙げている(しかし、作業員は被爆している)。
この無理くりの理由付けからは、事故の影響を過小評価したいという規制委の意図が透けて見えるかのよう。事実、議事録を見ると当の委員会内でも「原発事故に比べ相対的に軽微な事象だからといって、INES評価と別の考え方をするのは安易ではないか」という旨の異論もあったようだ。もちろん、こうした評価の妥当性をさらに“評価”する独立機関も、日本にはない。だいたい、この“評価”に1年4カ月近くも費やしているのはどういうことなのか。
さらに問題なのは、事故やトラブルが起こったら「放射性物質による環境への影響や、規制委による対応について文書で説明する方針」ということだ。
もし重大なトラブルが起こっても、今後は周囲の住民、自治体、そして報道機関などに即座に知らされることなく、規制委の“評価”“判断”が終わって「文書」が出来上がるまで公表されない、ということなのではないか。
しかも、この事故評価を報じたのは、共同通信と、その配信先の一部地方紙のみ。大手マスコミ、テレビはこの決定さえ報じてはいない。
現在の大手新聞、テレビは安倍政権に不利になるようなことを声高に報じることはしないだけなのか。それとも、同日に秘密保護法の施行がはじまった“偶然”を思うと、もしやこれが「安全保障上の国家機密」なのか……。
その真相はわからないが、“多少の汚染水漏れ、放射線漏れは無視”“些末なことは公表せず隠蔽”という規制委の本音が垣間みられる今回の決定は、あまりに国民、ひいては国際社会さえないがしろにするものであることに変わりはない。
この決定が、今後の日本にどんな影響を与えるのか。情報はさらに隠蔽されつづけるのか。確実なのは、自民圧勝が予想される選挙戦の中、こうした問題が争点にもならずに流されていく、ということである。
(伊勢崎馨)
LITERA/リテラ(SP)より
http://lite-ra.com/i/2014/12/post-703-entry.html
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みんなが知るべき情報
原子力規制委が
福島第一原発のトラブルを
“隠蔽”する方針
まさか特定秘密?
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12月10日、ついに特定秘密保護法が施行された。
安全保障にかかわる情報を特定秘密にして、漏洩した公務員らに懲役刑を課すというものだが、疑問視されてきた運用基準はいまも曖昧なまま。
しかも、どれが特定秘密なのかを指定するチェック機関は政府内に置かれていることを考えると、国家が恣意的に情報を隠蔽、コントロールし、報道の自由さえ脅かすのがこの法案の本質だ。
実際、この法を管理する内閣情報調査室が「海外生活や留学経験者は国家機密を漏らす恐れが高い」などという時代錯誤の見解を出したことでも分かるように、そもそも適正な運用など不可能であることがすでに露呈している。
これを前のめりで進めた安倍晋三首相は、「報道が抑圧されたら、私は辞める」などと大見得を切ったが、その舌の根も乾かぬうちにテレビ局に対し、〈報道の公平中立確保のお願い〉などという脅し文書を出しているのだから、何をかいわんやである。
しかも、秘密保護法が施行された同じ日、これに連動するように、国民の知る権利と安全さえを脅かすとんでもない決定があったことをご存知だろうか。
それは、原子力規制委員会(以下、規制委)が10日に、“福島第一原発では今後、国際原子力事象評価尺度(INES)を無視する”と決めたことだ。
INESは、原発事故や事象をレベル0から7までに分け、レベル2以上の場合および国外で公衆の関心を集めたり、新聞報道が必要となったときには、24時間以内に国際原子力機関(IAEA)を通し、加盟各国に通達することになっている。
これは重大な放射線汚染をいち早く察知し、国際的に対策をとるためだが、しかし、共同通信の報道によると、規制委は福島原発が最悪レベルの7に評価されたことで「尺度の評価基準をそのまま適用すると『誤解』が生じる」として、今後INESの数値を使った数値を福島原発に適用しないと決定したのだ。
INESを適用すると「誤解」を招く──。この規制委の意図は容易に想像できる。
福島原発は現在でも事故終息とはほど遠いのが現状だ。汚染水は増えつづけ、それを防ぐ凍土壁は短期的な対策に過ぎず、しかも未だ「凍らない」との報道さえある。来年から着手予定の燃料の取り出しも、周辺の放射線が高くて見通しも付いていない。
規制委にいわせれば、「こんな状況で発生するトラブルをいちいち評価、報告などできない」ということなのだろうが、それはいまだ廃炉作業が進展せず、汚染も深刻だということの裏返しでもあるのだ。
そして、注目すべきは、この決定をした会議資料のなかで例として挙げられている、昨年8月の汚染水漏れについての規制委の報告である。
規制委は昨年8月19日に300トンの高濃度汚染水が漏れた問題で、今回、「健康や環境への影響を懸念すべき海洋汚染はなかった」という評価を公表しているのだが、その会議資料を読むと、INESの評価基準にのっとるとレベル3であると暫定評価しながらも、〈潜在的影響をより現実的なものとしたところ、レベル2となった〉というのだ。
どうしてレベル3がレベル2になるのか。その理由は、“事故の影響で深層防護が十分でない施設に、通常の発電所と同様の防護基準を求められない”ということらしい。また、汚染水が地表に漏えいしたのは事実だが、事故後はサイト内全域が〈管理対象区域〉になっているのだから、〈設計上想定されない区域〉には当たらないのではないか、というのだ。そして、一般公衆の被爆はないことも挙げている(しかし、作業員は被爆している)。
この無理くりの理由付けからは、事故の影響を過小評価したいという規制委の意図が透けて見えるかのよう。事実、議事録を見ると当の委員会内でも「原発事故に比べ相対的に軽微な事象だからといって、INES評価と別の考え方をするのは安易ではないか」という旨の異論もあったようだ。もちろん、こうした評価の妥当性をさらに“評価”する独立機関も、日本にはない。だいたい、この“評価”に1年4カ月近くも費やしているのはどういうことなのか。
さらに問題なのは、事故やトラブルが起こったら「放射性物質による環境への影響や、規制委による対応について文書で説明する方針」ということだ。
もし重大なトラブルが起こっても、今後は周囲の住民、自治体、そして報道機関などに即座に知らされることなく、規制委の“評価”“判断”が終わって「文書」が出来上がるまで公表されない、ということなのではないか。
しかも、この事故評価を報じたのは、共同通信と、その配信先の一部地方紙のみ。大手マスコミ、テレビはこの決定さえ報じてはいない。
現在の大手新聞、テレビは安倍政権に不利になるようなことを声高に報じることはしないだけなのか。それとも、同日に秘密保護法の施行がはじまった“偶然”を思うと、もしやこれが「安全保障上の国家機密」なのか……。
その真相はわからないが、“多少の汚染水漏れ、放射線漏れは無視”“些末なことは公表せず隠蔽”という規制委の本音が垣間みられる今回の決定は、あまりに国民、ひいては国際社会さえないがしろにするものであることに変わりはない。
この決定が、今後の日本にどんな影響を与えるのか。情報はさらに隠蔽されつづけるのか。確実なのは、自民圧勝が予想される選挙戦の中、こうした問題が争点にもならずに流されていく、ということである。
(伊勢崎馨)
LITERA/リテラ(SP)より
http://lite-ra.com/i/2014/12/post-703-entry.html
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