川内原発再稼働/日本の豊かな山河、
限られた国土、人の住めない
放射能汚染の国にする!
目先の金を欲しがる!
春耕雨読より
http://sun.ap.teacup.com/souun/15827.html#readmore
内田樹氏…
福島の事故は、放射能汚染で
国土の一部を半永久的に
失う事態を招きました。
でも、尖閣諸島では「国土を守れ!」と
熱する人々も原発事故で
国土が失われるリスクに
まったく関心を示さない。
鹿児島県知事は、たとえこのあと
川内原発で事故が起きても、
前例にかんがみて、
何が起きても自分が政治責任を
問われることはない!
ということを確信した上で
政治決定を下したのです。
みんなが知るべき情報
川内原発再稼働について:内田樹氏
https://twitter.com/levinassien
先日の朝日新聞に川内原発再稼働について寄稿しました。紙面では少し短縮されましたが、ロングヴァージョンをブログに載せておきました。
…………………………
福島の事故は、放射能汚染で国土の一部を半永久的に失う事態を招きました。
でも、尖閣諸島では「国土を守れ!」と熱する人々も原発事故で国土が失われるリスクにまったく関心を示さない。
それはナショナリストたちも「パイが大きくなる」こと以外に何の目標も持っていないからです。
領土問題で隣国と競り合うのは、彼らの眼には領土もまた「パイ」に見えているからです。
中国や韓国の「取り分」が増える分だけ、日本の「割り前」は減る。そういうゼロサムゲームで彼らは国際関係を捉えている。
だから、国内における国土の喪失には特段の意味を感じないのです。
原発を稼働すれば経済戦争で隣国に対するアドバンテージが得られると訊けば、この「ナショナリスト」たちは国土の汚染や国民の健康被害など「無視していい」と平然と結論するでしょうし、現にそうしている。
日本が誇れる国民資源は何よりも豊かなこの「山河」です。国破れて山河あり。
戦争に負けても、恐慌が来ても、天変地異やパンデミックで傷ついても、この山河がある限り、国民は再生できます。
日本の森林率は67%で世界トップクラス。温帯モンスーンの肥沃な土壌のおかげで主食のコメはなんとか自給できます。
豊富な水、清浄な大気。これらがほとんど無償で享受できる。こんな豊かな山河に恵まれた国は世界でも例外的です。
国民が知恵を出し合ってフェアに分配し、活用すれば何世紀も生きているだけの「ストック」がある。
なぜ、国土を汚染し、人間が住めない土地を作るリスクを冒してまで目先の金を欲しがるのか。
それは原発推進派の人たちには「長いスパンで国益を考える」という習慣がないということでしか説明できません。
原子力発電から手を引くのは文明の退化だ。そんな主張をなす人もいます。
でも、原子力発電と人類の文明の成熟の間に相関はありません。
20世紀初頭に米・テキサスで大油田が見つかり、「ただ同然」のエネルギー源を利用した内燃機関文明と今日に至るアメリカの覇権体制が基礎づけられました。
でももしあのときテキサスで油田が見つかっていなければ、20世紀のテクノロジーはおそらくまったく別のかたちを取っていたでしょう。
石油エネルギーは人類がある時点で「たまたま」選んだ選択肢の一つに過ぎません。
原子力もそれと同じです。原子力がなければ、それに代わる何かを私たちは見出す。
文明というのは人間の知性のそのような可塑性と自由度のことです。原子力がなければ滅んでしまうような文明は文明の名に値しません。
多くの国民は国土の汚染や健康被害のリスクを受け入れてまでけ経済成長することよりも、あるいはテクノロジーの劇的な進化よりも、日本列島が長期的に居住可能であり、安定した生活ができることを望んでいます。
成長なき社会では、「顔の見える共同体」が基礎単位となることでしょう。
地域に根を下ろした中間共同体、目的も機能もサイズも異なるさまざまな集団が幾重にも重なり合い、市民たちは複数の共同体に同時に帰属する。
生きてゆくためにほんとうに必要なもの(医療や教育や介護やモラルサポート)は市場で商品として購入するのではなく、
むしろ共同体内部で貨幣を媒介させずに交換される。
そのような相互支援・相互扶助の共同体がポスト・グローバル資本主義の基本的な集団のかたちになるだろうと私は予測しています。
百年単位の経済合理性を考えれば、それが最も賢いソリューションだからです。
日時: 2014年11月15日 08:57
春耕雨読
http://sun.ap.teacup.com/souun/15827.html#readmore
全文↓↓
川内原発再稼働について:内田樹氏
https://twitter.com/levinassien
先日の朝日新聞に川内原発再稼働について寄稿しました。紙面では少し短縮されましたが、ロングヴァージョンをブログに載せておきました。どぞ。
-----------------
http://blog.tatsuru.com/
内田樹の研究室 2014.11.15
川内原発再稼働について
13日の朝日新聞に掲載された「川内原発再稼働について」の寄稿のロングヴァージョンです(紙面では行数が少し減りました)。
九州電力川内原発の再稼働に同意した鹿児島県の伊藤祐一郎知事は7日の記者会見で自信ありげに再稼働の必要性を論じていました。
私は「事態は『3・11』以前より悪くなってしまった」と感じました。
原発で万が一の事故があれば、電力会社も国の原理力行政も根底から崩れてしまう。
「福島以前」には原子力を推進している当の政府と電力会社の側にもそのような一抹の「おびえ」がありました。でも、東京電力福島第一原発の事故は、その「おびえ」が不要だったということを彼らに教えました。
これまでのところ、原発事故について関係者の誰ひとり刑事責任を問われていません。事故処理に要する天文学的コストは一民間企業が負担するには大きすぎるという理由で税金でまかなわれている。
政府と東電が事故がもたらした損失や健康被害や汚染状況をどれほど過小評価しても、それに反証できるだけのエビデンスを国民の側には示すことができない。
彼らは原発事故でそのことを「学習」しました。
鹿児島県知事は「たとえこのあと川内原発で事故が起きても、前例にかんがみて、「何が起きても自分が政治責任を問われることはない」ということを確信した上で政治決定を下したのです。
僕も彼らが利己心や邪悪な念によって原発再稼働を進めているとは思いません。彼らは彼らなりに「善意」で行動している。主観的には首尾一貫しているんです。それは、せいぜい五年程度のスパンの中での経済的利益を確かなものにすることです。経営者としては当然のことです。
しかし、1億人以上の人が、限られた国土で、限られた国民資源を分かち合いながら暮らし続けることを運命づけられた国民国家を運営するには、百年単位でものごとを考えなければならない。
株式会社なら、四半期の収支が悪化すれば、株価が下がり、倒産のリスクに瀕します。だから、「百年先」のことなんか考えていられないし、考えることを求められてもいない。
目先の利益確保があらゆることに最優先する。でも、国民国家の最優先課題は「いま」収益を上げることじゃない。
これから何百年も安定的に継続することです。株式会社の経営と国家経営はまったく別のことです。原発推進派はそれを混同してしまっている。
社会が成熟すれば経済活動は必ず停滞する。生身の身体の欲求に基づいて経済活動がある限り、「衣食足り」れば消費は頭打ちになる。成熟社会では人口が減り、消費活動は不活発になる。
成長しない社会において、どうやって国民資源をフェアに分配するか、この問いに答えるためにはそのための知恵が要ります。
でも、わが国の政治家も官僚も財界人も学者もメディアも、誰一人「経済成長が終ったあとに健康で文化的な国民生活を維持する戦略」については考えてこなかった。
「パイ」が増え続けている限り、分配の不公平に人はあまり文句を言いません。でも、「パイ」が縮み出すと、人々は分配が公正かどうか血眼になる。そういうものです。資源の公正な再分配にはそのための知恵が要ります。
しかし、今の日本にはその知恵を持っている人も、そのような知恵が必要だと思っている人もいない。相変わらず「パイが膨らんでいる限り、パイの分配方法に国民は文句をつけない」という経験則にしがみついている。
原発再稼働は「パイのフェアな分配」については何のアイディアもなく、ただ「パイを増やすこと」以外に国家戦略を持たない人たちの必至の結論です。
福島の事故は、放射能汚染で国土の一部を半永久的に失う事態を招きました。
でも、尖閣諸島では「国土を守れ!」と熱する人々も原発事故で国土が失われるリスクにまったく関心を示さない。それはナショナリストたちも「パイが大きくなる」こと以外に何の目標も持っていないからです。
領土問題で隣国と競り合うのは、彼らの眼には領土もまた「パイ」に見えているからです。
中国や韓国の「取り分」が増える分だけ、日本の「割り前」は減る。そういうゼロサムゲームで彼らは国際関係を捉えている。だから、国内における国土の喪失には特段の意味を感じないのです。
原発を稼働すれば経済戦争で隣国に対するアドバンテージが得られると訊けば、この「ナショナリスト」たちは国土の汚染や国民の健康被害など「無視していい」と平然と結論するでしょうし、現にそうしている。
日本が誇れる国民資源は何よりも豊かなこの「山河」です。国破れて山河あり。
戦争に負けても、恐慌が来ても、天変地異やパンデミックで傷ついても、この山河がある限り、国民は再生できます。
日本の森林率は67%で世界トップクラス。温帯モンスーンの肥沃な土壌のおかげで主食のコメはなんとか自給できます。
豊富な水、清浄な大気。これらがほとんど無償で享受できる。こんな豊かな山河に恵まれた国は世界でも例外的です。
国民が知恵を出し合ってフェアに分配し、活用すれば何世紀も生きているだけの「ストック」がある。なぜ、国土を汚染し、人間が住めない土地を作るリスクを冒してまで目先の金を欲しがるのか。それは原発推進派の人たちには「長いスパンで国益を考える」という習慣がないということでしか説明できません。
原子力発電から手を引くのは文明の退化だ。そんな主張をなす人もいます。でも、原子力発電と人類の文明の成熟の間に相関はありません。
20世紀初頭に米・テキサスで大油田が見つかり、「ただ同然」のエネルギー源を利用した内燃機関文明と今日に至るアメリカの覇権体制が基礎づけられました。
でももしあのときテキサスで油田が見つかっていなければ、20世紀のテクノロジーはおそらくまったく別のかたちを取っていたでしょう。石油エネルギーは人類がある時点で「たまたま」選んだ選択肢の一つに過ぎません。
原子力もそれと同じです。原子力がなければ、それに代わる何かを私たちは見出す。文明というのは人間の知性のそのような可塑性と自由度のことです。原子力がなければ滅んでしまうような文明は文明の名に値しません。
多くの国民は国土の汚染や健康被害のリスクを受け入れてまでけ経済成長することよりも、あるいはテクノロジーの劇的な進化よりも、日本列島が長期的に居住可能であり、安定した生活ができることを望んでいます。
成長なき社会では、「顔の見える共同体」が基礎単位となることでしょう。地域に根を下ろした中間共同体、目的も機能もサイズも異なるさまざまな集団が幾重にも重なり合い、市民たちは複数の共同体に同時に帰属する。
生きてゆくためにほんとうに必要なもの(医療や教育や介護やモラルサポート)は市場で商品として購入するのではなく、むしろ共同体内部で貨幣を媒介させずに交換される。
そのような相互支援・相互扶助の共同体がポスト・グローバル資本主義の基本的な集団のかたちになるだろうと私は予測しています。百年単位の経済合理性を考えれば、それが最も賢いソリューションだからです。
日時: 2014年11月15日 08:57
春耕作雨読より
http://sun.ap.teacup.com/souun/15827.html#readmore
川内原発の新安全神話/もし福島みたいなことが起きても、もう【命の問題なんか発生しない】狂気の鹿児島県知事… 事故が起きて「避難の必要がない。普通に生活してもいい」とも述べ…
川内原発・鹿児島県知事とは真反対/泉田新潟県知事、僕は自殺しませんから!命をかけて国・東電と対峙する ! 柏崎刈羽原発… 泉田裕彦知事x岩上安身インタビュー 。遺書が残っていても自殺ではない!自殺なんて事になったら、絶対に違うので調べてください!
川内原発、耐震工事なし、地震無視!新基準想定引き上げ後/小噴火の火山灰で全電源停止!地震噴火はセット
原発は金だ!放射能汚染で生まれる子供達が5 0年後に障害者でもかまわない!元敦賀市長の本音暴言! 原発ムラの基本理念!
原発は正常稼働でも放射能を出している!原発は事故や故障が怖いだけではない!温排水も海に放射能を流している!
川内原発再稼働で/がん、糖尿病、心臓疾患などが増加!風向きで九州全域~本州/正常稼働でも放射能放出!
川内原発事故は日本を全滅させる!台風と放射能雲の進路は同じ!対馬海流に乗って日本海も全滅する!
川内原発再稼働、避難計画/交通工学上ありえない!住民すでに見殺し!安倍自民、日米原発マフィアの狂気!
巨大カルデラ噴火の恐怖!その確率、阪神淡路大震災の5倍/火砕流は九州全域を襲う!火山灰は本州全域…!巽 好幸教授神戸大学・地球惑星科学科(マグマ学)
狂気、川内原発は大噴火でも安全!安倍答弁、再稼働めぐり/小規模噴火でも全電源喪リスクと専門家!
“原発は反社会的存在”…原発は国家ぐるみの粉飾決算=吉原・城南信金理事長インタビュー!
原発事故は、官僚に利権拡大の絶好チャンス!古賀茂明氏/川内原発が爆発しても、官僚には天下りの利権!
渡辺謙、脱原発【ダボス会議スピーチ全文】報じたのは、東京新聞だけだった!必読、拡散希望…
安倍の解散理由/日本悪化の一途が、国民に解る前に選挙の魂胆!孫崎享氏/あざとい今のうち解散…
日本国民への洗脳は、北朝鮮と同等かそれ以上なんじゃ ないのかな?
高齢者『早死に棄民計画』確信犯の汚染水垂れ流し、被爆隠蔽“高齢者扶養減らし”事故収束に本気でない
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限られた国土、人の住めない
放射能汚染の国にする!
目先の金を欲しがる!
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http://sun.ap.teacup.com/souun/15827.html#readmore
内田樹氏…
福島の事故は、放射能汚染で
国土の一部を半永久的に
失う事態を招きました。
でも、尖閣諸島では「国土を守れ!」と
熱する人々も原発事故で
国土が失われるリスクに
まったく関心を示さない。
鹿児島県知事は、たとえこのあと
川内原発で事故が起きても、
前例にかんがみて、
何が起きても自分が政治責任を
問われることはない!
ということを確信した上で
政治決定を下したのです。
みんなが知るべき情報
川内原発再稼働について:内田樹氏
https://twitter.com/levinassien
先日の朝日新聞に川内原発再稼働について寄稿しました。紙面では少し短縮されましたが、ロングヴァージョンをブログに載せておきました。
…………………………
福島の事故は、放射能汚染で国土の一部を半永久的に失う事態を招きました。
でも、尖閣諸島では「国土を守れ!」と熱する人々も原発事故で国土が失われるリスクにまったく関心を示さない。
それはナショナリストたちも「パイが大きくなる」こと以外に何の目標も持っていないからです。
領土問題で隣国と競り合うのは、彼らの眼には領土もまた「パイ」に見えているからです。
中国や韓国の「取り分」が増える分だけ、日本の「割り前」は減る。そういうゼロサムゲームで彼らは国際関係を捉えている。
だから、国内における国土の喪失には特段の意味を感じないのです。
原発を稼働すれば経済戦争で隣国に対するアドバンテージが得られると訊けば、この「ナショナリスト」たちは国土の汚染や国民の健康被害など「無視していい」と平然と結論するでしょうし、現にそうしている。
日本が誇れる国民資源は何よりも豊かなこの「山河」です。国破れて山河あり。
戦争に負けても、恐慌が来ても、天変地異やパンデミックで傷ついても、この山河がある限り、国民は再生できます。
日本の森林率は67%で世界トップクラス。温帯モンスーンの肥沃な土壌のおかげで主食のコメはなんとか自給できます。
豊富な水、清浄な大気。これらがほとんど無償で享受できる。こんな豊かな山河に恵まれた国は世界でも例外的です。
国民が知恵を出し合ってフェアに分配し、活用すれば何世紀も生きているだけの「ストック」がある。
なぜ、国土を汚染し、人間が住めない土地を作るリスクを冒してまで目先の金を欲しがるのか。
それは原発推進派の人たちには「長いスパンで国益を考える」という習慣がないということでしか説明できません。
原子力発電から手を引くのは文明の退化だ。そんな主張をなす人もいます。
でも、原子力発電と人類の文明の成熟の間に相関はありません。
20世紀初頭に米・テキサスで大油田が見つかり、「ただ同然」のエネルギー源を利用した内燃機関文明と今日に至るアメリカの覇権体制が基礎づけられました。
でももしあのときテキサスで油田が見つかっていなければ、20世紀のテクノロジーはおそらくまったく別のかたちを取っていたでしょう。
石油エネルギーは人類がある時点で「たまたま」選んだ選択肢の一つに過ぎません。
原子力もそれと同じです。原子力がなければ、それに代わる何かを私たちは見出す。
文明というのは人間の知性のそのような可塑性と自由度のことです。原子力がなければ滅んでしまうような文明は文明の名に値しません。
多くの国民は国土の汚染や健康被害のリスクを受け入れてまでけ経済成長することよりも、あるいはテクノロジーの劇的な進化よりも、日本列島が長期的に居住可能であり、安定した生活ができることを望んでいます。
成長なき社会では、「顔の見える共同体」が基礎単位となることでしょう。
地域に根を下ろした中間共同体、目的も機能もサイズも異なるさまざまな集団が幾重にも重なり合い、市民たちは複数の共同体に同時に帰属する。
生きてゆくためにほんとうに必要なもの(医療や教育や介護やモラルサポート)は市場で商品として購入するのではなく、
むしろ共同体内部で貨幣を媒介させずに交換される。
そのような相互支援・相互扶助の共同体がポスト・グローバル資本主義の基本的な集団のかたちになるだろうと私は予測しています。
百年単位の経済合理性を考えれば、それが最も賢いソリューションだからです。
日時: 2014年11月15日 08:57
春耕雨読
http://sun.ap.teacup.com/souun/15827.html#readmore
全文↓↓
川内原発再稼働について:内田樹氏
https://twitter.com/levinassien
先日の朝日新聞に川内原発再稼働について寄稿しました。紙面では少し短縮されましたが、ロングヴァージョンをブログに載せておきました。どぞ。
-----------------
http://blog.tatsuru.com/
内田樹の研究室 2014.11.15
川内原発再稼働について
13日の朝日新聞に掲載された「川内原発再稼働について」の寄稿のロングヴァージョンです(紙面では行数が少し減りました)。
九州電力川内原発の再稼働に同意した鹿児島県の伊藤祐一郎知事は7日の記者会見で自信ありげに再稼働の必要性を論じていました。
私は「事態は『3・11』以前より悪くなってしまった」と感じました。
原発で万が一の事故があれば、電力会社も国の原理力行政も根底から崩れてしまう。
「福島以前」には原子力を推進している当の政府と電力会社の側にもそのような一抹の「おびえ」がありました。でも、東京電力福島第一原発の事故は、その「おびえ」が不要だったということを彼らに教えました。
これまでのところ、原発事故について関係者の誰ひとり刑事責任を問われていません。事故処理に要する天文学的コストは一民間企業が負担するには大きすぎるという理由で税金でまかなわれている。
政府と東電が事故がもたらした損失や健康被害や汚染状況をどれほど過小評価しても、それに反証できるだけのエビデンスを国民の側には示すことができない。
彼らは原発事故でそのことを「学習」しました。
鹿児島県知事は「たとえこのあと川内原発で事故が起きても、前例にかんがみて、「何が起きても自分が政治責任を問われることはない」ということを確信した上で政治決定を下したのです。
僕も彼らが利己心や邪悪な念によって原発再稼働を進めているとは思いません。彼らは彼らなりに「善意」で行動している。主観的には首尾一貫しているんです。それは、せいぜい五年程度のスパンの中での経済的利益を確かなものにすることです。経営者としては当然のことです。
しかし、1億人以上の人が、限られた国土で、限られた国民資源を分かち合いながら暮らし続けることを運命づけられた国民国家を運営するには、百年単位でものごとを考えなければならない。
株式会社なら、四半期の収支が悪化すれば、株価が下がり、倒産のリスクに瀕します。だから、「百年先」のことなんか考えていられないし、考えることを求められてもいない。
目先の利益確保があらゆることに最優先する。でも、国民国家の最優先課題は「いま」収益を上げることじゃない。
これから何百年も安定的に継続することです。株式会社の経営と国家経営はまったく別のことです。原発推進派はそれを混同してしまっている。
社会が成熟すれば経済活動は必ず停滞する。生身の身体の欲求に基づいて経済活動がある限り、「衣食足り」れば消費は頭打ちになる。成熟社会では人口が減り、消費活動は不活発になる。
成長しない社会において、どうやって国民資源をフェアに分配するか、この問いに答えるためにはそのための知恵が要ります。
でも、わが国の政治家も官僚も財界人も学者もメディアも、誰一人「経済成長が終ったあとに健康で文化的な国民生活を維持する戦略」については考えてこなかった。
「パイ」が増え続けている限り、分配の不公平に人はあまり文句を言いません。でも、「パイ」が縮み出すと、人々は分配が公正かどうか血眼になる。そういうものです。資源の公正な再分配にはそのための知恵が要ります。
しかし、今の日本にはその知恵を持っている人も、そのような知恵が必要だと思っている人もいない。相変わらず「パイが膨らんでいる限り、パイの分配方法に国民は文句をつけない」という経験則にしがみついている。
原発再稼働は「パイのフェアな分配」については何のアイディアもなく、ただ「パイを増やすこと」以外に国家戦略を持たない人たちの必至の結論です。
福島の事故は、放射能汚染で国土の一部を半永久的に失う事態を招きました。
でも、尖閣諸島では「国土を守れ!」と熱する人々も原発事故で国土が失われるリスクにまったく関心を示さない。それはナショナリストたちも「パイが大きくなる」こと以外に何の目標も持っていないからです。
領土問題で隣国と競り合うのは、彼らの眼には領土もまた「パイ」に見えているからです。
中国や韓国の「取り分」が増える分だけ、日本の「割り前」は減る。そういうゼロサムゲームで彼らは国際関係を捉えている。だから、国内における国土の喪失には特段の意味を感じないのです。
原発を稼働すれば経済戦争で隣国に対するアドバンテージが得られると訊けば、この「ナショナリスト」たちは国土の汚染や国民の健康被害など「無視していい」と平然と結論するでしょうし、現にそうしている。
日本が誇れる国民資源は何よりも豊かなこの「山河」です。国破れて山河あり。
戦争に負けても、恐慌が来ても、天変地異やパンデミックで傷ついても、この山河がある限り、国民は再生できます。
日本の森林率は67%で世界トップクラス。温帯モンスーンの肥沃な土壌のおかげで主食のコメはなんとか自給できます。
豊富な水、清浄な大気。これらがほとんど無償で享受できる。こんな豊かな山河に恵まれた国は世界でも例外的です。
国民が知恵を出し合ってフェアに分配し、活用すれば何世紀も生きているだけの「ストック」がある。なぜ、国土を汚染し、人間が住めない土地を作るリスクを冒してまで目先の金を欲しがるのか。それは原発推進派の人たちには「長いスパンで国益を考える」という習慣がないということでしか説明できません。
原子力発電から手を引くのは文明の退化だ。そんな主張をなす人もいます。でも、原子力発電と人類の文明の成熟の間に相関はありません。
20世紀初頭に米・テキサスで大油田が見つかり、「ただ同然」のエネルギー源を利用した内燃機関文明と今日に至るアメリカの覇権体制が基礎づけられました。
でももしあのときテキサスで油田が見つかっていなければ、20世紀のテクノロジーはおそらくまったく別のかたちを取っていたでしょう。石油エネルギーは人類がある時点で「たまたま」選んだ選択肢の一つに過ぎません。
原子力もそれと同じです。原子力がなければ、それに代わる何かを私たちは見出す。文明というのは人間の知性のそのような可塑性と自由度のことです。原子力がなければ滅んでしまうような文明は文明の名に値しません。
多くの国民は国土の汚染や健康被害のリスクを受け入れてまでけ経済成長することよりも、あるいはテクノロジーの劇的な進化よりも、日本列島が長期的に居住可能であり、安定した生活ができることを望んでいます。
成長なき社会では、「顔の見える共同体」が基礎単位となることでしょう。地域に根を下ろした中間共同体、目的も機能もサイズも異なるさまざまな集団が幾重にも重なり合い、市民たちは複数の共同体に同時に帰属する。
生きてゆくためにほんとうに必要なもの(医療や教育や介護やモラルサポート)は市場で商品として購入するのではなく、むしろ共同体内部で貨幣を媒介させずに交換される。
そのような相互支援・相互扶助の共同体がポスト・グローバル資本主義の基本的な集団のかたちになるだろうと私は予測しています。百年単位の経済合理性を考えれば、それが最も賢いソリューションだからです。
日時: 2014年11月15日 08:57
春耕作雨読より
http://sun.ap.teacup.com/souun/15827.html#readmore
川内原発の新安全神話/もし福島みたいなことが起きても、もう【命の問題なんか発生しない】狂気の鹿児島県知事… 事故が起きて「避難の必要がない。普通に生活してもいい」とも述べ…
川内原発・鹿児島県知事とは真反対/泉田新潟県知事、僕は自殺しませんから!命をかけて国・東電と対峙する ! 柏崎刈羽原発… 泉田裕彦知事x岩上安身インタビュー 。遺書が残っていても自殺ではない!自殺なんて事になったら、絶対に違うので調べてください!
川内原発、耐震工事なし、地震無視!新基準想定引き上げ後/小噴火の火山灰で全電源停止!地震噴火はセット
原発は金だ!放射能汚染で生まれる子供達が5 0年後に障害者でもかまわない!元敦賀市長の本音暴言! 原発ムラの基本理念!
原発は正常稼働でも放射能を出している!原発は事故や故障が怖いだけではない!温排水も海に放射能を流している!
川内原発再稼働で/がん、糖尿病、心臓疾患などが増加!風向きで九州全域~本州/正常稼働でも放射能放出!
川内原発事故は日本を全滅させる!台風と放射能雲の進路は同じ!対馬海流に乗って日本海も全滅する!
川内原発再稼働、避難計画/交通工学上ありえない!住民すでに見殺し!安倍自民、日米原発マフィアの狂気!
巨大カルデラ噴火の恐怖!その確率、阪神淡路大震災の5倍/火砕流は九州全域を襲う!火山灰は本州全域…!巽 好幸教授神戸大学・地球惑星科学科(マグマ学)
狂気、川内原発は大噴火でも安全!安倍答弁、再稼働めぐり/小規模噴火でも全電源喪リスクと専門家!
“原発は反社会的存在”…原発は国家ぐるみの粉飾決算=吉原・城南信金理事長インタビュー!
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