TPP、国民皆保険の
切り崩しは始まっている!
米国が狙う本丸は医療分野だ!
ジャーナリスト堤未果氏…
盲腸の手術に200万円とか、
タミフル1錠7万円というのは
大げさな話じゃないんですね。
TPPの正文翻訳を急がなければ
安倍政権の思うツボ。
日本政府が公開したのは
本当の意味の
全文じゃないんですね。
堤未果氏は各メディアで発言、執筆・講演活動を行っている
盲腸手術に200万円払えますか?日本人の命を守る「国民皆保険制度」を安倍政権は米国の製薬・保険業界のために破壊しようとしている! 堤未果
沈みゆく大国アメリカ!次のターゲットは日本!多数の日米一般国民にとっては地獄!安倍の売国行為…植草一秀氏/TPP・日米同盟強化意味! 米国を根城とする強欲大資本は、日本市場を強奪するために、日本をTPPに引き入れようとしている。
日刊ゲンダイDIGITAL|ジャーナリスト堤未果氏 「国民皆保険の切り崩しは始まっています」
いま、米国で最も力のあるロビイストは製薬業界。
彼らが虎視眈々と狙っているのが日本の医療分野で、30年前から自由化の圧力をかけてきた。
TPPはその総仕上げなんです。
TPPを批准したら安倍首相の言う通りに皆保険の仕組みは残りますが、確実に形骸化します。
自己負担限度額を設けた高額療養費制度もなし崩しになるでしょう。
米国民と同じ苦しみを味わうことになってしまいます。
TPPが発効したら、政府は医療費抑制のために3つの選択肢を示すでしょう。
▽皆保険維持のために薬価は全額自己負担▽自己負担率を8割に引き上げ▽診療報酬の引き下げ――。
診療報酬が下がれば儲からない病院は潰れ、医師は米国と同じように利益を意識して患者を選ばざるを得なくなる。
最終的にシワ寄せは私たちにきます。
1%の人々にとってTPPは夢。ロビイストが米議会にバラまいた献金は100億円を超えましたが、
その何百倍もの恩恵を未来永劫得られるのですから安い投資です。
米国でTPPが批准されないという見通しは甘い。実現に向けて彼らはさらに札束をまくでしょう。
日本が抜ければTPPは発効しません。年明けの国会が最後の勝負です。
全文は下記に…
クリックよろしくお願い致します
日刊ゲンダイDIGITAL|ジャーナリスト堤未果氏 「国民皆保険の切り崩しは始まっています」
ジャーナリスト堤未果氏 「国民皆保険の切り崩しは始まっています」
臨時国会を拒否し、2日間の閉会中審査でTPP審議をはぐらかした安倍政権がバラマキを始めた。
最も反対の声が大きい農林水産業界を黙らせ、国民が売国条約の全容を知る前に承認に持ち込もうというハラなのだが、問題は農業だけじゃない。
米国が狙う本丸は医療分野だ。その懸念を早くから訴えてきたこの国際ジャーナリストの堤未果氏は、
「国民皆保険制度の切り崩しはすでに始まっている」と警鐘を鳴らす。
――10月に大筋合意したTPPの全文が11月にようやく公表されました。
日本政府が作成した30章97ページの「TPP協定の全章概要」はかなりはしょっています。
ニュージーランド政府の英文文書はまったく同じ内容なのに598ページ。
文書を含めた全体では1500ページ超が215ページに縮められています。話になりません。
――日本政府が公開したのは本当の意味の全文じゃないんですね。
私が取材している医療や食品にとって重要な「知的財産章」「投資章」「透明性及び制度に関する規定章」は、138ページが21ページに圧縮されています。
そもそも、TPPの正文(国際条約を確定する正式な条約文)は英語、仏語、スペイン語。域内GDPで米国に次ぐ経済力のある日本が入っていないことになぜ外務省は抗議しないんでしょう?
「不都合な真実」を国民に知られまいと、外務省が正文扱いを断ったんじゃないかという臆測まで広まっています。
――一般の国民が全容を知るのは不可能に近いですね。国会議員でも怪しいところですが。
外務省は英語正文を読み込める国会議員はいないとタカをくくっているんです。
外務省が都合よく翻訳した「概要」をベースにいくら審議を重ねても意味がない。いつものように手のひらで転がされるだけです。
■TPPの正文翻訳を急がなければ安倍政権の思うツボ
――国会議員がしっかりしないとマズい。
正文に記された内容を正確に把握した上で問題点を追及しなければ、承認を急ぐ安倍政権の思うツボ。
日本語の正文がない以上、外注でも何でもして大至急翻訳する必要があります。
法律には巧妙な言い回しで“地雷”を埋め込まれていますから、国際弁護士のチェックも欠かせません。
適用範囲が拡大したTPPの肝であるISD条項(国と投資家の間の紛争解決条項)はすべての国会議員が目を通すべきですし、厚労委に所属する先生だったら食の安全と医療は最低限押さえるとか、それぞれの専門分野の正文を読むべきです。
こういう時のために税金から政党助成金が配分されているんです。30人の国会議員で1章ずつ翻訳を頼めば、アッという間にできる作業でしょう。
臨時国会が召集されず、審議が本格化する年明けの通常国会まで時間はあるんですから。
――正文の翻訳をHPなりSNSにアップしてくれれば、一般の国民も内容に触れやすくなります。
そうですね。まずは全章翻訳ですが、TPPは付属書と日米並行協議などの内容をまとめた2国間交換文書の3つで1セット。
法律は付帯文書に核心を仕込んでいることがままありますし、TPP参加の入場券と引き換えに日米並行協議で非関税障壁を要求されています。
ここで日本がのんだ「譲歩リスト」は特にしっかり精査しなければなりません。TPPは「1%VS99%の情報戦争」。時間との勝負なんです。
米国でTPPが批准されないという見通しは甘い
――「1%VS99%」とは、どういうことですか?
TPPは「1%のクーデター」とも呼ばれています。1%というのは、米国の多国籍企業や企業の利益を追求するロビイスト、投資家やスーパーリッチ(超富裕層)のこと。
彼らの目的は国から国家の機能を奪い、株式会社化して、効率良く利益を最大化することなんです。民営化は彼らをますます潤わせる手段です。
いま、米国で最も力のあるロビイストは製薬業界。彼らが虎視眈々と狙っているのが日本の医療分野で、30年前から自由化の圧力をかけてきた。TPPはその総仕上げなんです。
――中曽根政権時代ですね。
86年のMOSS協議(市場分野別個別協議)で米国から薬と医療機器の市場開放を求められたのが皮切りです。
その後も対日年次改革要望書などで混合医療の解禁や米保険会社の市場参入、薬や医療機器の価格を決定する中医協に米企業関係者の参加を要求するなど、さまざまな注文を付けてきた。
TPPを批准したら安倍首相の言う通りに皆保険の仕組みは残りますが、確実に形骸化します。
自己負担限度額を設けた高額療養費制度もなし崩しになるでしょう。米国民と同じ苦しみを味わうことになってしまいます。
――米国では14年にオバマ大統領が皆保険を実施しましたが、そんなにヒドイ状況なんですか?
通称「オバマケア」は社会保障の色合いが濃い日本の皆保険とは似て非なる制度。民間医療保険への加入を義務付けられたのです。
日本では収入に応じた保険料を支払い、健康保険証を提示すれば誰でもどこでも病院で受診できる。
オバマケアは健康状態によって掛け金が変動する民間保険に強制加入させられる上、無加入者は罰金を科されます。
オバマケアは政府に入り込んだ保険会社の重役が作った法律。
保険会社はリスクが上がるという口実で保険料を引き上げ、プランごとにカバーできる医療サービスや処方薬を見直した。
保険料は毎年値上がりするし、米国の薬価は製薬会社に決定権があるため非常に高額。
日本と同程度の医療サービスを受けられるのは、ひと握りの金持ちだけ。
当初喝采していた政権びいきのNYタイムズまで保険料や薬価が高騰したと批判し始めました。
――盲腸の手術に200万円とか、タミフル1錠7万円というのは大げさな話じゃないんですね。
WHO(世界保健機関)のチャン事務局長もTPPによる薬価高騰の懸念を示していますし、国境なき医師団も非難しています。
「特許期間延長制度」「新薬のデータ保護期間ルール構築」「特許リンケージ制度」は、いずれも後発薬の発売を遅らせるものです。
製薬会社にとって新薬はドル箱です。TPPによって後発薬発売が実質延長されるでしょう。
米国では特許が切れたタイミングで後発薬を売り出そうとする会社に対し、新薬を持つ製薬会社が難癖をつけて訴訟に持ち込む。
裁判中は後発薬の発売ができませんから、引き延ばすほど製薬会社にとってはオイシイんです。
■「TPPの実態は独占」
――HIVや肝炎などを抱える患者にとっては死活問題ですが、日本の薬価や診療報酬は中医協や厚労省が決定権を握っています。
TPPの「透明性の章」と関係するんですが、貿易条約で言う「透明性」は利害関係者を決定プロセスに参加させる、という意味。
米国は小渕政権時代から中医協に民間を入れろと迫っているんです。
TPPでそれを許せば、公共性や医療の正当性を軸にしている審査の場にビジネス論理が持ち込まれてしまう。
グローバル製薬業界は新薬の保険適用を縮小したり、公定価格との差額を政府に穴埋めさせるなどして皆保険を残したまま高く売りつけたい。
医療費がかさめば、民間保険に加入せざるを得なくなり、保険会社もニンマリですよ。
TPPが発効したら、政府は医療費抑制のために3つの選択肢を示すでしょう。
▽皆保険維持のために薬価は全額自己負担▽自己負担率を8割に引き上げ▽診療報酬の引き下げ――。
診療報酬が下がれば儲からない病院は潰れ、医師は米国と同じように利益を意識して患者を選ばざるを得なくなる。最終的にシワ寄せは私たちにきます。
――安倍政権が取り組む国家戦略特区で、大阪は医療分野の規制緩和に向けて動き出しています。
大阪だけではすみません。特区内に本社を置けば、特区外でも同様の医療サービスを展開できる。
事実上の自由診療解禁です。マスコミはTPPを自由化というスタンスで報じていますが、TPPの実態は独占。国内産業保護のために規制していた参加国のルールは自由化されますが、製薬会社などが持つ特許や知財権は彼らの独占状態になる。
1%の人々にとってTPPは夢。ロビイストが米議会にバラまいた献金は100億円を超えましたが、その何百倍もの恩恵を未来永劫得られるのですから安い投資です。米国でTPPが批准されないという見通しは甘い。実現に向けて彼らはさらに札束をまくでしょう。日本が抜ければTPPは発効しません。年明けの国会が最後の勝負です。
▽つつみ・みか 1971年、東京生まれ。NY市立大学大学院修士号取得。国連、証券会社などに勤務。「報道が教えてくれないアメリカ弱者革命」で黒田清日本ジャーナリスト会議新人賞。「ルポ 貧困大国アメリカ」で日本エッセイスト・クラブ賞、新書大賞。「政府は必ず嘘をつく」で早稲田大学理事長賞。近著に「沈みゆく大国 アメリカ」(2部作)。
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米国の凋落、経済成長を各国に求める!米財務長官…沈みゆく貧困大国アメリカ…日本の金と自衛隊を狙う!生き残れない国へ加速!米の貧困大国の姿は日本の近未来!
自衛隊、中東での米国の肩替わり!安倍晋三が出て行く、うまく利用され…大きな厄災が日本本土に!日本破局の道… 兵頭正俊氏/中東テロ戦争…米国にとっては、日本・自衛隊は金を出さなくていいだけ、ISISよりも遙かに自衛隊の方が傭兵として優れている。米国の後方支援などというのは、安倍晋三の頭のなかにしかない物語になろう。米国が中東の前線から引こうとしているのだから、必然的に残された自衛隊が前線を任されることになる。権謀渦巻く中東に、安倍晋三が出て行く。うまく利用され、大きな厄災が、中東ではなく、日本本土にもたらされることになる。
安倍晋三の愚かさゆえに、第三次世界大戦の火ぶたを日本が切らされる可能性が高まっている!米国指示のロシア機撃墜…!兵頭正俊氏…/わたしたちは、トルコやフランスの中東介入に、明日の日本を見なければならない。ロシア機撃墜はトルコ単独によるものではなく、NATO(米国)の了解、あるいは指示によるものだと思っている。米国の3つの顔。そのなかの戦争でおのれと国家の経済を回していく顔は、第三次世界大戦を諦めていない!
福島、小児甲状腺がん、50倍~300倍…さらに数千倍!世界最悪/南東北から関東…放射能汚染 /津田敏秀氏ら論文/いまだに、正確な放射性物質の量は、把握されていないことを忘れてはいけない。政府の放置によって、世界最悪の放射能汚染に見舞われているのである。廃棄物処理や物流によって、全国に拡散を続けているのが現実だ。決して、政府マスコミの馬鹿話に引っかかってはいけない。
フクイチで新たな恐怖!核燃デブリ「地底臨界」危機進行中!東日本どころか地球規模の超巨大原子力災害に突き進む! 核燃デブリが地中へ抜け落ちていく? 100t超といわれる大量のデブリ塊はどこへ行ったのか?そして膨大な崩壊熱で水蒸気爆発が繰り返され、新たに生まれた放射性物質が地上へまき散らされる…。質量がケタ外れに多い福島第一原発のデブリが「地底臨界」すれば、東日本どころか地球規模の超巨大原子力災害に突き進む!海外の研究者や政府関係者が不安視、苛立つ最悪の「地底臨界」危機進行中…!どう見ても、どう考えても大変なことになっている福島第一原発
癌細胞は味噌が嫌い!みそ汁1日3杯で乳がん40%減!原爆・放射能にも勝った味噌!胃がん、前立腺ガン、肝臓癌など。ガン予防、再発防止にも「みそスープ」/そして「緑茶」国立がん研究センター発表、緑茶1日5杯で死亡リスク低くなる。
原発こそ最強の温暖化装置!原発1基で毎日、広島原爆2発分のパワーで海水温を上げ、温暖化、極端気候を作る!原発は発電量の2倍の熱量で海を加熱している。発電量の2倍の熱量を海に捨てている!
この捨てられる熱水を温排水と呼ぶ。さらに海を、空を放射能で汚染する!
安倍政権らはCOP21インチキ温暖化ガス商売より原発をなくす事が地球、人類の未来を握っている。
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米国が狙う本丸は医療分野だ!
ジャーナリスト堤未果氏…
盲腸の手術に200万円とか、
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大げさな話じゃないんですね。
TPPの正文翻訳を急がなければ
安倍政権の思うツボ。
日本政府が公開したのは
本当の意味の
全文じゃないんですね。
堤未果氏は各メディアで発言、執筆・講演活動を行っている
盲腸手術に200万円払えますか?日本人の命を守る「国民皆保険制度」を安倍政権は米国の製薬・保険業界のために破壊しようとしている! 堤未果
沈みゆく大国アメリカ!次のターゲットは日本!多数の日米一般国民にとっては地獄!安倍の売国行為…植草一秀氏/TPP・日米同盟強化意味! 米国を根城とする強欲大資本は、日本市場を強奪するために、日本をTPPに引き入れようとしている。
日刊ゲンダイDIGITAL|ジャーナリスト堤未果氏 「国民皆保険の切り崩しは始まっています」
いま、米国で最も力のあるロビイストは製薬業界。
彼らが虎視眈々と狙っているのが日本の医療分野で、30年前から自由化の圧力をかけてきた。
TPPはその総仕上げなんです。
TPPを批准したら安倍首相の言う通りに皆保険の仕組みは残りますが、確実に形骸化します。
自己負担限度額を設けた高額療養費制度もなし崩しになるでしょう。
米国民と同じ苦しみを味わうことになってしまいます。
TPPが発効したら、政府は医療費抑制のために3つの選択肢を示すでしょう。
▽皆保険維持のために薬価は全額自己負担▽自己負担率を8割に引き上げ▽診療報酬の引き下げ――。
診療報酬が下がれば儲からない病院は潰れ、医師は米国と同じように利益を意識して患者を選ばざるを得なくなる。
最終的にシワ寄せは私たちにきます。
1%の人々にとってTPPは夢。ロビイストが米議会にバラまいた献金は100億円を超えましたが、
その何百倍もの恩恵を未来永劫得られるのですから安い投資です。
米国でTPPが批准されないという見通しは甘い。実現に向けて彼らはさらに札束をまくでしょう。
日本が抜ければTPPは発効しません。年明けの国会が最後の勝負です。
全文は下記に…
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日刊ゲンダイDIGITAL|ジャーナリスト堤未果氏 「国民皆保険の切り崩しは始まっています」
ジャーナリスト堤未果氏 「国民皆保険の切り崩しは始まっています」
臨時国会を拒否し、2日間の閉会中審査でTPP審議をはぐらかした安倍政権がバラマキを始めた。
最も反対の声が大きい農林水産業界を黙らせ、国民が売国条約の全容を知る前に承認に持ち込もうというハラなのだが、問題は農業だけじゃない。
米国が狙う本丸は医療分野だ。その懸念を早くから訴えてきたこの国際ジャーナリストの堤未果氏は、
「国民皆保険制度の切り崩しはすでに始まっている」と警鐘を鳴らす。
――10月に大筋合意したTPPの全文が11月にようやく公表されました。
日本政府が作成した30章97ページの「TPP協定の全章概要」はかなりはしょっています。
ニュージーランド政府の英文文書はまったく同じ内容なのに598ページ。
文書を含めた全体では1500ページ超が215ページに縮められています。話になりません。
――日本政府が公開したのは本当の意味の全文じゃないんですね。
私が取材している医療や食品にとって重要な「知的財産章」「投資章」「透明性及び制度に関する規定章」は、138ページが21ページに圧縮されています。
そもそも、TPPの正文(国際条約を確定する正式な条約文)は英語、仏語、スペイン語。域内GDPで米国に次ぐ経済力のある日本が入っていないことになぜ外務省は抗議しないんでしょう?
「不都合な真実」を国民に知られまいと、外務省が正文扱いを断ったんじゃないかという臆測まで広まっています。
――一般の国民が全容を知るのは不可能に近いですね。国会議員でも怪しいところですが。
外務省は英語正文を読み込める国会議員はいないとタカをくくっているんです。
外務省が都合よく翻訳した「概要」をベースにいくら審議を重ねても意味がない。いつものように手のひらで転がされるだけです。
■TPPの正文翻訳を急がなければ安倍政権の思うツボ
――国会議員がしっかりしないとマズい。
正文に記された内容を正確に把握した上で問題点を追及しなければ、承認を急ぐ安倍政権の思うツボ。
日本語の正文がない以上、外注でも何でもして大至急翻訳する必要があります。
法律には巧妙な言い回しで“地雷”を埋め込まれていますから、国際弁護士のチェックも欠かせません。
適用範囲が拡大したTPPの肝であるISD条項(国と投資家の間の紛争解決条項)はすべての国会議員が目を通すべきですし、厚労委に所属する先生だったら食の安全と医療は最低限押さえるとか、それぞれの専門分野の正文を読むべきです。
こういう時のために税金から政党助成金が配分されているんです。30人の国会議員で1章ずつ翻訳を頼めば、アッという間にできる作業でしょう。
臨時国会が召集されず、審議が本格化する年明けの通常国会まで時間はあるんですから。
――正文の翻訳をHPなりSNSにアップしてくれれば、一般の国民も内容に触れやすくなります。
そうですね。まずは全章翻訳ですが、TPPは付属書と日米並行協議などの内容をまとめた2国間交換文書の3つで1セット。
法律は付帯文書に核心を仕込んでいることがままありますし、TPP参加の入場券と引き換えに日米並行協議で非関税障壁を要求されています。
ここで日本がのんだ「譲歩リスト」は特にしっかり精査しなければなりません。TPPは「1%VS99%の情報戦争」。時間との勝負なんです。
米国でTPPが批准されないという見通しは甘い
――「1%VS99%」とは、どういうことですか?
TPPは「1%のクーデター」とも呼ばれています。1%というのは、米国の多国籍企業や企業の利益を追求するロビイスト、投資家やスーパーリッチ(超富裕層)のこと。
彼らの目的は国から国家の機能を奪い、株式会社化して、効率良く利益を最大化することなんです。民営化は彼らをますます潤わせる手段です。
いま、米国で最も力のあるロビイストは製薬業界。彼らが虎視眈々と狙っているのが日本の医療分野で、30年前から自由化の圧力をかけてきた。TPPはその総仕上げなんです。
――中曽根政権時代ですね。
86年のMOSS協議(市場分野別個別協議)で米国から薬と医療機器の市場開放を求められたのが皮切りです。
その後も対日年次改革要望書などで混合医療の解禁や米保険会社の市場参入、薬や医療機器の価格を決定する中医協に米企業関係者の参加を要求するなど、さまざまな注文を付けてきた。
TPPを批准したら安倍首相の言う通りに皆保険の仕組みは残りますが、確実に形骸化します。
自己負担限度額を設けた高額療養費制度もなし崩しになるでしょう。米国民と同じ苦しみを味わうことになってしまいます。
――米国では14年にオバマ大統領が皆保険を実施しましたが、そんなにヒドイ状況なんですか?
通称「オバマケア」は社会保障の色合いが濃い日本の皆保険とは似て非なる制度。民間医療保険への加入を義務付けられたのです。
日本では収入に応じた保険料を支払い、健康保険証を提示すれば誰でもどこでも病院で受診できる。
オバマケアは健康状態によって掛け金が変動する民間保険に強制加入させられる上、無加入者は罰金を科されます。
オバマケアは政府に入り込んだ保険会社の重役が作った法律。
保険会社はリスクが上がるという口実で保険料を引き上げ、プランごとにカバーできる医療サービスや処方薬を見直した。
保険料は毎年値上がりするし、米国の薬価は製薬会社に決定権があるため非常に高額。
日本と同程度の医療サービスを受けられるのは、ひと握りの金持ちだけ。
当初喝采していた政権びいきのNYタイムズまで保険料や薬価が高騰したと批判し始めました。
――盲腸の手術に200万円とか、タミフル1錠7万円というのは大げさな話じゃないんですね。
WHO(世界保健機関)のチャン事務局長もTPPによる薬価高騰の懸念を示していますし、国境なき医師団も非難しています。
「特許期間延長制度」「新薬のデータ保護期間ルール構築」「特許リンケージ制度」は、いずれも後発薬の発売を遅らせるものです。
製薬会社にとって新薬はドル箱です。TPPによって後発薬発売が実質延長されるでしょう。
米国では特許が切れたタイミングで後発薬を売り出そうとする会社に対し、新薬を持つ製薬会社が難癖をつけて訴訟に持ち込む。
裁判中は後発薬の発売ができませんから、引き延ばすほど製薬会社にとってはオイシイんです。
■「TPPの実態は独占」
――HIVや肝炎などを抱える患者にとっては死活問題ですが、日本の薬価や診療報酬は中医協や厚労省が決定権を握っています。
TPPの「透明性の章」と関係するんですが、貿易条約で言う「透明性」は利害関係者を決定プロセスに参加させる、という意味。
米国は小渕政権時代から中医協に民間を入れろと迫っているんです。
TPPでそれを許せば、公共性や医療の正当性を軸にしている審査の場にビジネス論理が持ち込まれてしまう。
グローバル製薬業界は新薬の保険適用を縮小したり、公定価格との差額を政府に穴埋めさせるなどして皆保険を残したまま高く売りつけたい。
医療費がかさめば、民間保険に加入せざるを得なくなり、保険会社もニンマリですよ。
TPPが発効したら、政府は医療費抑制のために3つの選択肢を示すでしょう。
▽皆保険維持のために薬価は全額自己負担▽自己負担率を8割に引き上げ▽診療報酬の引き下げ――。
診療報酬が下がれば儲からない病院は潰れ、医師は米国と同じように利益を意識して患者を選ばざるを得なくなる。最終的にシワ寄せは私たちにきます。
――安倍政権が取り組む国家戦略特区で、大阪は医療分野の規制緩和に向けて動き出しています。
大阪だけではすみません。特区内に本社を置けば、特区外でも同様の医療サービスを展開できる。
事実上の自由診療解禁です。マスコミはTPPを自由化というスタンスで報じていますが、TPPの実態は独占。国内産業保護のために規制していた参加国のルールは自由化されますが、製薬会社などが持つ特許や知財権は彼らの独占状態になる。
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